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書評:『火群(ほむら)のごとく』

1 :名無しさん@涙目です。(東京都):2011/04/11(月) 16:17:42.38 ID:E87yCTv40● ?2BP(0)

ケレンと正統派 時代小説を活性化

 最近の時代小説の中で印象深い二作、百田尚樹『影法師』と、あさのあつこ『』の二長編について語りたい。
(略)
 対する『火群のごとく』は、対照的な作品といっていい。こちらはケレンを排した正統派の時代小説だ。
江戸から遠く離れた小国が舞台。自然豊かな町の少年の日々を描く長編である。剣と友情と初恋の日々が描かれ、
それで背景に大人たちの権力争いがあるという結構は、藤沢周平『蝉しぐれ』や、宮本昌孝『藩校早春賦』を誰もが想起するだろう。

 それらの先行する名作群と本書が異なるのは、こちらには地元の少年たち、すなわち林弥を中心に、無骨な源吾、温和な和次郎という少年三人組のほかに、もう一人の少年が現れること。
それが筆頭家老の息子樫井透馬。家老が出入り職人の娘に手をつけて生まれた子で、嫡男が前年亡くなり、さらに次男が病弱のために国元に呼ばれた少年だ。

 この透馬と、地元育ちの林弥が結びつくのは、剣の先生がともに同じ人物だからで、それが新里結之丞。林弥の兄で、道場の高弟として名を馳(は)せていたが、何者かに後ろから斬(き)り殺された。
それが二年前のこと。十五歳も年下の林弥には、兄は父のような存在だったので、斬り殺されたことが信じられない。そこに江戸から透馬がやってくる。
透馬もまた先生が死んだことを信じられず、事の真相を探り出そうとする。

 こうして、どちらが結之丞から剣の才能を愛されていたのか、ということをめぐるライバルでもある林弥と透馬の探究の日々が始まっていく。

 兄嫁に対する林弥の思慕、林弥と源吾と和次郎の友情、林弥と透馬の複雑なライバル心、そういった微妙な感情を静かに、鮮やかに描くあさのあつこの筆致の冴(さ)えを読まれたい。
ラスト近く、ある人物が(ネタばれになるのでその名前をここに書けない)秋の光の中に佇(たたず)むシーンの美しさも特筆ものといっていい。
『蝉しぐれ』や『藩校早春賦』を愛した読者なら、この長編もたっぷりと堪能できるような気がする。
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20100614bk0e.htm

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